住宅ローンによる減税とは?条件や必要な手続き、税制改正までを解説

「住宅ローン減税を受けたいけど、条件は?」
「実際にはどのくらい節税になるの?」
そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンを組むには、返済期間が10年以上、合計所得金額が2,000万円以下などの必要条件を満たさなければなりません。
そこでこの記事では住宅ローン減税の手続き方法、令和4年税制改正でどう変わったのかを解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
住宅ローンによる減税とは

住宅ローンによる減税とは、住宅ローンを使って住宅を購入した場合に適用される減税措置のことです。
具体的には、年末調整のときに住宅ローン残高の0.7%が、入居時から10年間または13年間にわたり、所得税や住民税から控除されます。
住宅ローンの減税を受けるための条件
住宅ローン減税を受けるための条件は、以下の5点です。
- 減税を受ける人が住む
- 住宅ローンの返済期間が10年以上あること
- 床面積が50㎡以上
- 住む面積の割合が1/2以上
- 合計所得金額が2,000万円以下
順番に解説します。
減税を受ける人が住む
住宅ローンの減税を受ける人が住む必要があります。住宅を建てる予定がかなり先となる土地のみの購入や、投資用のマンションの購入には使えません。しかし、転勤で一時的に減税を受ける本人が住んでいなくても、家族で住んでいる場合は、減税が受けられます。
住宅ローンの返済期間が10年以上あること
住宅ローンの返済が10年以上かかる、支払う額が大きいローンには減税が適用されます。適用を受けている間に、繰り上げ返済などで返済期間が10年未満になると、減税の適用がなくなりますので、注意が必要です。
床面積が50㎡以上
住宅の床面積が50㎡以上必要です。マンションは、エレベーターや廊下などの共用部分を含まず、登記簿に載っている専有部分のみで条件を満たす必要があります。
しかし、令和5年以前に、建築基準に適合していると確認する建築確認を受けた住宅は、40㎡以上の面積で適用されます。ただ、合計所得金額が1,000万円以下の条件を満たさなければなりません。
住む面積の割合が1/2以上
カフェなど自宅を事業として使っているケースでも、自分が住んでいる割合が1/2以上必要です。住む面積は、登記簿に載っている床面積のことで、マンションの販売時に使われている面積とは異なりますので、確認しましょう。
2-5.合計所得金額が2,000万円以下
給与所得や不動産所得などを含めた合計所得金額が、2,000万円以下の人が利用できます。相続などの実家の売却で2,000万円を超えた年は、減税は受けられません。
住宅ローンの減税を受けるために必要な手続き

住宅ローンの減税を受けるためには、住居が建ってから6ヶ月以内に入居し、翌年の確定申告をする必要があります。
ここでは必要書類や、2年目以降の手続きを説明します。
必要書類を集める
主に必要となる書類は以下の通りです。
必要書類 | どこで取得するか |
住民票 | 市役所 |
銀行の残高証明書 | 金融機関 |
登記事項証明書 | 管轄の不動産がある法務局 |
請負契約書(売買契約書) | 住宅契約時に渡されている |
源泉徴収票 | 職場 |
長期優良住宅などの優遇措置を使う場合は、証明書が必要になります。
新築や中古、長期優良住宅などの条件によって書類は変わりますので、詳しくは国税庁のホームページを確認してください。
翌年の確定申告で申請する
入居した翌年の確定申告で申請し、納めすぎた所得税の還付申告を行います。郵送やインターネットでも手続きが可能です。
2年目以降の手続き
会社員のような給与所得者の場合は、2年目以降の確定申告は不要です。その分勤務先の年末調整で手続きが可能です。
年末調整に、税務署から届く「住宅借入金等控除証明書」と金融機関で取得する「残高証明書」を添付する必要があります。
令和4年税制改正の主なメリット
令和4年度に税制改正が行われ、住宅ローン減税にも変更がありました。改正によって得られるメリットは、以下の3点です。
- 入居期限が4年間延長
- 住宅の性能によって、借入限度額が上乗せされる
- 新築住宅の控除期間が3年間延長
順番に解説します。
入居期限が4年間延長
入居期限が令和4~7年まで4年間延長されました。それに伴い、住宅ローン減税を適用できる人が増加しました。
住宅の性能によって、借入限度額が上乗せされる
住宅の性能に伴い、借入限度額が上乗せされます。入居する年によっても控除の金額は変わります。詳しくは、以下の表をご覧ください。
令和4.5年入居 | 令和6.7年入居 | ||
新築住宅買取再販 | 長期優良住宅低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | |
省エネ基準住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | |
その他の住宅 | 3,000万円 | 0円 |
新築住宅の控除期間が3年間延長
新築住宅の控除期間が10年から13年に延長されました。
ただし、新築住宅のうち長期優良住宅などの条件を満たさない「その他の住宅」や、中古住宅は10年のままですので、注意が必要です。
令和4年度改正のデメリット
令和4年度改正の主なデメリットは、以下の2点です。
- 所得制限が1,000万円引き下げ
- 控除率が0.3%引き下げ
順番に解説します。
所得制限が1,000万円引き下げ
所得制限が「3,000万円以下」から「2,000万円以下」に引き下げになりました。
中間所得層向けの制度になり、一部の高所得者は住宅ローンが適用されません。
控除率が0.3%引き下げ
1番大きな影響があると言われているのは、控除率が1%から0.7%に引き下げられたことです。
新築・中古住宅問わず一律でこの控除率が適用されます。
まとめ:住宅ローン減税を申請して、節税しよう!
住宅ローン減税を受けるには、5つの条件を満たさなければなりません。
入居した年の翌年に確定申告をすることで、最大5,000万円の控除を受けられます。
令和4年改正で変更された部分を確認して、住宅ローン減税を利用して節税しましょう。