車のローンがある場合でも住宅ローンを組むことはできる?審査が通りやすくなる条件

人生のライフステージにおいて、結婚して家族が増えた後に多くの人が頭を悩ませることの一つが家の購入ではないでしょうか。
しかし、車のローンが残っていることから審査が通るのか不安という方もいるでしょう。
結論から言うと、車のローンがある場合でも住宅ローンを組むことは可能です。車のローンを組んでいること自体が、住宅ローン審査の項目とはならないからです。
この記事では、自分にとって良い物件に巡り合った時に思ったような住宅ローンが組めないとならないように、現在車のローンがある場合でも住宅ローンとお付き合いできる方法を解説します。
住宅ローン契約までどのような流れで進むのか
「どうしたら住宅ローンを活用した住宅購入が出来るか」を考える上で、住宅ローン契約までの流れを知ることが必要となります。
流れを知ることで、車のローンがある場合でも住宅ローンを組むために何を行うべきかがわかるからです。
住宅ローン契約までに必要な流れは次の通りです。
- (申込側)住宅ローン申し込み
- (銀行側)事前審査:翌日~1週間ぐらい
- (申込側)本審査申し込み
- (銀行側)本審査:1~2週間ぐらい
- (双方)住宅ローン契約
事前審査と本審査の2回の審査で、銀行はこの申込者と住宅ローンを契約しても問題ないかを判断します。
銀行側にとって住宅ローン契約は長期間にわたりお金を貸し続けることになるため、申込者に支払い能力があり信頼できる人なのかを、審査によって慎重に判断しています。
銀行による審査を通ることが出来たら住宅ローン契約することが可能です。
住宅ローンには事前審査と本審査の2つの審査を通る必要がある
住宅ローン契約するためには事前審査、本審査の時点で確実に返済できる能力があるかを証明する必要があります。
どの様なことが審査されるのか、審査基準を知っておくことで、準備の際に無駄のない行動ができるでしょう。
ここからは、借入の審査基準について解説します。
下の表は、住宅ローン審査の際に50%以上の金融機関が評価するとしている項目を抽出したものです。
出典:国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」より編集
上記の中で、車のローンに関わることで特に重要となるのは「返済負担率」と「他の債務の状況や返済履歴」です。
「他の債務の状況や返済履歴」は、車のローンや教育ローンなどがあっても遅れずに返済できていれば問題無いためわかりやすいのではないかと思います。
返済負担率についてはわかりにくいところもあると思うので、ここからは返済負担率とは何か。
さらに、車のローンとどの様に関わるのかを解説していきます。
返済負担率って何?
返済負担率とは、年収の内どのくらいの金額を返済に充てる事が出来るのかを割合で表した値で、返済能力として重要視されています。
返済負担率は下記の式で算出可能です。
・返済負担率(%)=(1年間の返済額/年収)×100
返済額については注意すべきことがあります。
返済額は住宅ローンだけではなく、車のローンや各種ローンなどの借入に関するもの全てが含まれます。
クレジットカードの使用可能額は利用に関係なく含むため、知っておいた方が良いと思います。
借入の情報は個人信用情報機関にデータとして残されており、どのローンを組んでいるか、延滞など発生したことがあるかも保管されていますので、申込時に借入中のローン情報はクレジットカードも含め正確に記入して下さい。
申込時に情報を正確に記入することも、審査の通過条件となります。
返済負担率と車のローンの関係
返済負担率は低いほど良いとされています。
では、返済負担率を低くするためにはどの様なことに気を付ければよいでしょうか?
それは、1年間の返済額を少なくすることです。
前項で、返済額は車のローンや各種ローンなどの借入に関するもの全てが含まれると触れました。
車のローンを少なくすることで返済額を少なくすることが出来ます。
逆に車のローンがある場合でも返済負担率が少なければ住宅ローン審査が通る可能性は十分あります。
車のローンがあっても返済負担率を30%以下にすることで審査を通りやすくすることが出来る
では、返済負担率で評価される目安はどのくらいでしょうか。
下のグラフは、令和2年度における物件ごとの年間返済額と住宅ローン返済負担率を示したものです。
年間返済額は青の棒グラフで、軸は左側(単位が万円の方)となります。
返済負担率はオレンジ色の線グラフで、軸は右側(%表示の方)です。
出典:国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査報告書」より編集
このグラフから次の2つがわかります。
- 新築物件(注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション)の返済負担率は高い
- 中古物件(中古戸建住宅、中古マンション、リフォーム住宅)の返済負担率は低い
新築物件の返済負担率が高いのは、物件価格が高いからだと考えられます。
年間返済額の高いため、総額になる住宅ローン金額が高いからです。
返済負担率のデータは平均の値を示しています。
購入する物件が決定したら、返済負担率を自分で計算し、グラフで表記している物件(注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅、中古マンション、リフォーム住宅)に該当する返済負担率と比べましょう。
その上で、平均より少なければ返済負担率に関しては問題無いと言えます。
もし平均より、高い返済負担率であったときに上限をどのくらいで考えればいいでしょうか。
りそな銀行、フラット35で公開している返済負担率の基準を下に表で示します。
基本的に銀行の多くは返済負担率を公開してはいませんので、銀行により基準が異なる可能性があります。
しかし、公開している基準数値は審査に通りやすくする目標とする目安となります。
銀行 | フラット35 | ||
年収 | 指定なし | 400万円未満 | 400万円以上 |
返済負担率 | 35%以下 | 30%以下 | 35%以下 |
あくまでも目安ですが、この数字を満たすことが出来れば、車のローンを組んでいても、返済負担率はクリアしていると考えてもよいでしょう。
返済負担率が30%を越えていた場合にすべきこと3選

もし、基準となる返済負担率を越えていた場合は何をしたらいいでしょうか。
現状、車のローンを組んでいる人で、出来そうなことから優先順位をつけると次のようになります。
- 車のローン以外のローンは一括返済する
- 余剰資金で車のローンを一部繰り上げ返済もしくは一括返済する
- 車を売却し、車のローン返済に充てる
それぞれ詳しくみていきましょう。
車のローン以外のローンは一括返済する
一つ目は、可能ならば、住宅ローンの申込を行う前に車以外のローンを返済する方法です。
審査に通りやすくなり、住宅ローンの借入限度額が増えることで、住宅購入の選択肢を増やすことが出来ます。
短期的なローンを返済することで、最長で35年までローンを活用することが出来るのが最大の利点です。
荒業になりますが、クレジットカードのキャッシング枠を0円にする、もしくは減額するという方法も有効となります。
注意点は限度額を引き上げる際にクレジットカード会社による審査が発生するので手間がかかることです。
場合によっては限度額が下げる前より低くなってしまうこともあり得ます。
どうしてもというときに検討すると良いでしょう。
余剰資金で車のローンを一部繰り上げ返済もしくは一括返済する
二つ目は、住宅ローンの申込を行う前に車のローンを一括返済する方法です。
借入を住宅ローンだけにしておくことが、返済負担率を最も少なくし、返済能力を最大にすることになるからです。
その点において、一部繰上返済も返済負担率を下げることとなりますが、一括返済するほうがより効果があります。
また、車のローンの方が住宅ローンに比べ、期間も短く、金利が高いので、余剰資金があるならば、住宅ローンの頭金にするよりは車のローン返済に充てることをおすすめします。
車を売却し、車のローン返済に充てる
住宅ローンを最大限組みたい、けれども車も欲しいという人もいると思います。
その場合には、車を売却し少しでも車のローンの返済に充て、住宅ローンを組んでから車のローン組む三つ目の方法をお勧めします。
住宅ローン契約まで完了したら、審査は発生しないので改めて車のローンを申込みましょう。
車のローンがある人が住宅ローンの審査を通るより、住宅ローンがある人が車のローン審査を通るほうが、通りやすい傾向にあります。
車のローンは短期のローンであることがその理由です。
ただし、この場合は返済負担率が増えるため、毎月苦しくならないように計画を立て車のローンを組むように注意しましょう。また、カーリースも有効です。
カーリースでは毎月料金を支払い、車を借りることが出来ます。
毎月料金であるリース料金に、車両価格、登録諸費用、自賠責保険料、車検代、メンテナンス費用等が含まれています。
車のローンの場合には車を購入するために銀行から借入していますが、カーリースの場合の金利に当たる部分がリース料金に含まれるので借入では無くなるというのが利点です。
カーリースの場合も、メリット・デメリットがあるので両方を理解した上で利用してみるのも有効です。
まとめ
車のローンがある場合でも住宅ローンを組むことが出来るかについて、解説しました。
内容をまとめると以下の通りです。
- 車のローンがある場合でも住宅ローン審査を組むためには返済負担率30%以下にする
- 車のローンがある場合でも住宅ローンを組むことが出来るが、借入限度額が少なくなる
- 住宅ローン契約をした後に、車のローン申込をした方が通りやすい
この記事で解説した内容を参考に、車のローンと住宅ローンを賢く借りていきましょう。