円安と住宅ローンに関係はある?要因と対応方法を解説

円安と住宅ローンに関係はある?要因と対応方法を解説

2022年6月はじめには1ドル=130円を突破し、2022年6月中には1ドル=135円を推移する、円安状態がつづいています。

「円安になると住宅ローンの金利が上がってしまうのではないか?」

「円安のときは住宅ローンを変動・固定どちらを選ぶべきか?」

この円安は住宅ローンの金利にどんな影響をおよぼし、住宅ローンに対して私たちはどう心がけていけばいいのかわからないという方もいるでしょう。

結論としては以下の2点になります。

  1. 短期的には住宅ローンの金利は上昇しないが、長期的には上昇していくトレンドに入る
  2. 現在住宅ローンを借りている方は、余裕をもった資金繰り計画を、これから住宅ローンを借りる方は余裕をもった借入計画をおすすめする

本記事では最近の円安の要因を探り、住宅ローンとの関連を深堀りした上で、今後どう対応したらいいのかを解説したいと思います。

なぜ円安なのか?その要因は?

そもそもなぜ円安なのかを理解していきましょう。

主要な要因の1つが「日本と諸外国の金利差」です。

アメリカをはじめとする諸外国が金利を引き上げる政策を打ち出している一方、日本は金利を低く保つ政策を続けています。

特にアメリカは急激なデフレ(物の価値の上昇)状態です。そこでデフレ対策を優先する政策として、金利を引き上げています。金利引き上げは有効なデフレ対策の1つです。

ご存じの通り日本もデフレ傾向ですが、諸外国ほどではありません。そこで日銀はデフレよりも景気底上げを引き続き優先する政策、つまり低金利を維持しています。低金利は経済の周りをよくしてくれます。

その結果2022年6月現在、日本国債10年の年利利回りは0.230%ほど、一方、米国国債10年の年利利回りは3.190%ほどと、大きな金利差が生じています。

しかし、なぜ金利差が円安につながるのか。

それは、投資家たちが「日本円を売って、日本円以外の通貨(外貨)を買った方がお得」と考えるからです。

日本円を所持して金利によって得られる金額と、米ドルのような外貨を所持して金利によって得られる金額を比べると、現在は外貨を持っているほうが圧倒的に多くなります。そうなると日本円を売って米ドルを買う人たちが増えてきます。

その結果日本円の価値が米ドルをはじめとする外貨より低くなり、円安となる。

以上が今の円安要因です。

円安と住宅ローン金利の関係は?

一般的に円安は、住宅ローン金利を上昇させる要因といわれています。

はたして今回の円安は住宅ローンにどんな影響をおよぼすのでしょうか?

結論としては以下の通りです。

  • 短期的には:変動金利は上昇せず、固定金利が先に上昇する
  • 長期的には:どちらも金利上昇の可能性が高い

住宅ローンの変動金利と固定金利に分けて考えていきましょう。

まず変動金利です。

変動金利は日銀の金利政策に連動します。前項でも述べた通り、日本の金利は低いままです。これはデフレ対策よりも以前より続けている経済を底上げする政策を継続する、という日銀の意思表明です。この状態では変動金利がすぐに上昇しないでしょう。

次に固定金利です。

固定金利は円安や海外の金利上昇に連動して上昇します。すでに固定金利を上げ始めている金融機関もあります。このことから固定金利の上昇は避けられないと考えられます。

変動金利、固定金利、長期的にはどうなるでしょうか?

今のところは、日銀もいずれかの時期に金利を上げていくだろうと予想されます。

日本のデフレ対策に本腰を入れなくてはならない、諸外国の金融政策に歩調を合わせなければいけない、といった局面が出てくるからです。

そうなると変動金利も上昇してくる可能性があります。しかしながらそのタイミングを現時点で予想するのは不可能です。

いずれにしても今からしっかり準備しておくことが大事です。

住宅ローン、円安時にどう対応する?

では円安になった時、私たちはどう対応したらいいのでしょうか?

固定金利の上昇も低水準で、変動金利も当面は上がらないというのが大方の意見です。

急いで借り換えるときは冷静な損得勘定ができません。前もって返済計画と返済資金の準備をしておくことをおすすめします。

変動金利で住宅ローンを借りているかたは、固定金利への切り替えシミュレーションをしておきましょう。

ただし、借り換えのタイミングは難しいことを覚悟しておいてください。

一般的には先に固定金利が上昇してくるので、変動金利が上がってきた時期まで待つと固定金利が高くて借り換えできない状況になる場合があります。

まとめ:ゆとりを持った返済計画を

以上、円安時の住宅ローンについて解説しました。

ポイントは以下の通りです。

  • 今回の円安で、住宅ローン金利は上昇局面に入りつつある
  • 今のうちに借り換え・資金繰りなどの対応を準備しておくべき

住宅ローンは長く付き合っていくべきものです。

すでに借りている方は、ゆとりのある資金繰りを、これから借りようと考えている方は、ゆとりのある借入計画をそれぞれ心がけてください。